不動産管理には必須、ブルーマップの使い方、教えます
ブルーマップという聞きなれない言葉、不動産関係を専門でやっている方でないと滅多にお目にかかることはないかもしれません。しかし、一生に一度くらい、ひょんなことから使わざるをえないときがやってくるかもしれません。
それは不動産の売買や、マイホームの建て替え時などです。ブルーマップには多くの不動産専門用語が書かれています。通常の地図とは少し異なる、それがブルーマップです。不動産の世界は非常に特殊ですが、ここでは簡単にブルーマップの使い方を解説します。
住宅地図に公図を重ねたもの、それがブルーマップ
ブルーマップとは、通常の住宅地図の上に「公図」と呼ばれる、各地方の法務局保有の図を重ね合わせたものです。住宅地図に追加された情報は、基本的に青い文字で記載されているためにブルーマップと呼ばれています。そこで、ブルーマップを説明するには、まずは公図についても簡単に説明しなければなりません。
公図とは?公図の歴史と役割
公図とは、土地の位置や形状、隣接地との境界線を示すものです。また、普段私たちが使う住所とは異なる地番や、家屋番号が振られています。不動産の売却時には不可欠な重要なものです。
しかし、公図の歴史を遡ると、明治時代の地租改正に至ります。ご存じの通り、従来の米の収穫量に応じて「年貢米」として納めていた税を、土地の収穫力に応じて決められた「地価」をもとに納税するという、明治新政府の税制改革です。
つまり、このとき、土地の面積や形、所有者を知る必要が出てきました。そのときに作られたのが改租図というもので、今の公図のもとになっています。
公図は正確ではない
日本人にとって信じられないかもしれませんが、公図には誤差が多くあると指摘されています。
それもそのはずで、修正は加えられているものの、基本になっているのは、先述の明治時代に作成された図のデータだからです。
しかし、土地の境界を示した公の地図はこれしかないのです。その後、区画整理などを実施するときには正確に測量して、公図を修正しているものの、公図上の登記記録と、実際の面積が異なることがよくあると言われています。
正式名称は地図に準ずる図面
国土交通省も公式ホームページ上で、「公図の多くは、明治時代の地租改正に伴い作成されたもので、現況と大きく異なる場合があります。」「公図の他に土地の位置や形状を示す公的な資料がない地域では、土地の大まかな位置や形状を明らかにできる点で資料価値があるため、現在も利用されています。」と説明しています。
ちなみに、公図の正式名称は「地図に準ずる図面」。現在、正確なデータを反映するため「地籍調査」が進められていますが、2018年現在でまだ全国の半分ほどでしか完了していないのが実情です。
公図はどこで、どうやって見る?
公図はこのような背景で作成されているため、課税台帳と共に税務署に保管されていました。戦後になり、土地の登記事務などを法務局(登記所)で扱うことになったため、現在はこちらへ移管されており、各地域の法務局で閲覧することが出来る他、オンラインでの閲覧申請、またオンライン上での閲覧も可能です。取得手数料は450円ほどかかります。しかし、問題なのは、請求する土地の地番・家屋番号がわからないと申請出来ないという点です。
地番・家屋番号とは?
地番は明治時代に改租図を作った際に土地ごとにつけた番号ですが、現在でも不動産の登記に記載されている番号です。
現在、私たちは「○○市◇◇▲丁目**番●●号」という住居表示を普段住所として使っていますので、これとは異なるものです。かつての名残で「○○市××町△△番地」という住所を用いている場合、この番地が地番のイメージに近いと言えます。
また、土地に建物が存在する場合には家屋番号というものがふられています。ですから、今の住所から地番は基本的に調べることが出来ないのです。そして、そこで登場するのがブルーマップなのです。
ブルーマップで出来ること
ここまで説明してきた公図は、土地の形を示した、あたかもパズルのピースを集めたようなものですので、ぱっと見ではどこの地域を示しているのかなかなかわかりません。その地域の目印となるようなコンビニや、象徴的な建物の表示がないからです。
そこで、公図の情報を住宅地図に重ね合わせたのがブルーマップです。
これにより、自分の住んでいる住所の地番を調べることが出来るのです。地番以外にも、ブルーマップには、通常の住宅地図には反映されていない容積率や建ぺい率、地番、用途地域名が一目でわかるようになっており、不動産管理には欠かせない一冊になっています。
ブルーマップの見方
ブルーマップを開くと、様々な青い文字が記入されています。これらの見方を解説します。
地番
まず、肝心の地番ですが、建物名、居住者名の傍に青い数字が入っています。これが地番です。よく見てみると、大きなビルなどの場合、複数の地番が書かれていることもあります。一つの建物でも土地の境界があることもあるのです。
用途地域名
一部の地域は、その土地の利用目的が限定されていることがあります。それが用途地域名です。商業と指定されているエリアに住居は建設できませんし、逆に住居と指定されているエリアに商業施設は建設出来ません。用地地域名は、横長の丸印の中に漢字で書かれています。また、用途地域の境界は薄い青い太線で画ががかれています。
建ぺい率と容積率
先述のその地域の用途により、建ぺい率と容積率は異なります。なお、容積率とは、敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合で、50%~1300%の範囲で制限されています。
この割合が高いほど、高い建物の建設が可能です。また、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合で、基本的に30%~80%の範囲で制限が定められています。防火対策や、住環境保護が主な目的です。これら数値はブルーマップ上に縦長の楕円の中に書かれており、上段が容積率、下段が建ぺい率です。
公図番号
公図**と青い文字で記載があります。これが公図番号です。
ブルーマップには地番は書かれているものの、土地の境界は書かれていません。地番も必ずしも正確な位置に記載されているわけではありません。あくまでも、地番を探すツールです。そのため、この公図番号がわかれば、法務局で申請するときに非常にスムーズです。
ブルーマップはどこで手に入る?その値段は?
地図製作大手、ゼンリンが全国の市町村別(一部地域除く)にブルーマップを発行しています。これらはゼンリンの各営業所、オンラインショップで購入することが出来ます。
しかし、あくまでも不動産業者など法人を対象にしているため、値段は約2万円以上と非常に高価です。
そのため、個人が手にすることはほとんどないと思います。それでも、入手が必要になったときは、安く閲覧する方法、また地番を調べる方法もありますので、また別の記事にて紹介します。
まとめ
土地の利権など、不動産に関わる情報は非常に複雑で、個人の手ではなかなか解決が出来ません。日本でさえ、正確な土地の境界を示す地図が未完成というのがそれを物語っています。しかし、だからこそ不動産売買時には思わぬトラブルも発生します。そんなとき、必要になるのがブルーマップや公図です。また、公図は正確ではないということを知り、もしものときに慌てることのないようにしたいですね。