こんなところにゼンリン。東京オリンピック公式ライセンス商品も。
地図業界最大手、ゼンリン。しかしながら、その商品の多くは企業向け、つまり「B to B」のスタイルを取っているため、私たち一般消費者の目に触れることはありません。そこで今回は、ゼンリンがどのような商品を発売し、どのようなところに活用されているかを見てゆくことにしましょう。
ゼンリンの元祖商材、住宅地図
1980年に全国47都道府県全ての住宅地図を発行したゼンリン。全国展開を行う住宅地図製作会社として唯一無二の存在です。住宅地図と言えばゼンリンと呼ばれるほど、圧倒的なシェアを誇っています。そして、紙の地図から、電子地図へ、さらには単なる地図ではなく、地上のあらゆる情報を詰め込んだデータベースとして、様々なサービスに行かされています。
1冊子版住宅地図・ブルーマップ
ゼンリンの元祖と言える商品です。調査員が全国津々浦々を歩き、作成されている住宅地図は建物一戸一戸の名称、バス停、一方通行情報など、あらゆる情報が満載です。都市部では1年に1回更新がなされ、常に最新の情報になっており、不動産業、運送・宅配業から、自治体、公共団体に至るまで様々な業務シーンで活用されています。
オンライン版住宅地図
ゼンリンの住宅地図情報が、お手持ちのパソコンやスマートフォン、携帯電話から確認できます。オンラインの自動更新なので買い替えが不要、さらに保管スペースも取らないという電子版ならではのメリットがあります。さらに、地名、番地、表札等のキーワードから検索も出来るので、出先で迷う心配もありません。また、地図上へ訪問先の登録や、メモを入力することも出来ますので、簡単に情報管理が可能です。インストール先に合わせて、以下の名称で発売しています。なお、スマートフォン版はドコモ地図ナビとも提携しています。
ZNET TOWN mobile (スマートフォン・タブレット)
地図出力サービス
冊子の持ち運びの必要なし。欲しいときに欲しい部分だけを印刷できるサービスです。索引図からの検索が可能で、必要な場所をすぐに印刷出来るほか、好きな場所を中央に配置して印刷が可能です。インターネット上からクレジット決済で印刷出来るほか、コンビニのマルチコピー機から印刷が可能です。対応しているコンビニはセブンイレブン、ローソン、ファミリーマート(いずれも一部店舗除く)です。
ZENRIN GIS
GISとはあまり聞きなれない言葉ですが、地理情報システム(Geographic Information Systems)の略で、地図にさまざまなデータを重ね合わせて表示するシステムのことです。地図上に文字や数字、画像などを重ね、データに基づいた検索や分析、シミュレーションなどが可能になります。顧客情報管理や、行政サービスを始めとして、あらゆるシーンで活用されています。なお、いずれも企業向けの商品であり、商品は購入に制限があるものもあります。ここでは、そのうちのいくつかを紹介します。
ZENRIN GISアプリケーション
既存の業務システムやWebページにゼンリンの地図情報を組み込むサービスです。不動産会社のWebページの他、経路案内のアプリケーションにも組み込まれています。グーグルマッププラットフォームも、ZENRIN GISアプリケーションのうちの1つとして紹介されています。
ZENRIN GISコンテンツ
地図上に様々な統計や各種情報と組み合わせることで、効果的な分析が可能になります。業種や業務に応じて、必要なデータを地図上に表示することが出来ます。
行政区分地図データ/統計地図データ/メッシュ統計地図データ/年収階級別世帯数推計データ/貯蓄階級別世帯数推計データ/消費支出推計データ/商業集積統計データ/建物統計データ/建物ポイントデータ/ブルーマップデータ/路線価データ/地価公示・地価調査データ/都市計画データ/電話帳データなど
さらに、近年注目を集めているのが3D地図データです。実際の街並みを忠実に再現しています。建築や都市再開発などのプレゼンテーションのみならず、車の自動運転や防災シミュレーション、さらにはバーチャルリアリティゲームの開発にまで活用されています。
カーナビソフト
私たちの生活にもっとも身近な地図情報は、このカーナビソフトでしょう。パナソニックが発売する「Gorilla」「Strada」といったナビゲーションソフトを中心に、ゼンリンの正確な地図情報が活かされています。カーナビソフトに占めるゼンリンのシェアは7割ほどとも言われています。ゼンリンの公式ショップからは、アップデータパッケージを購入することが出来ます。
マップデザイン「地図ステーショナリーmati mati」
地図マニアにはたまらない!?ゼンリンが地図をモチーフにした生活雑貨を開発しました。その名も「mati mati」.。ちょっとお洒落なデザインですが、どれも実在の都市地図をもとにしています。さらに、例えば、仙台なら「街路樹」、名古屋なら「モーニング」、広島なら「路面電車」と都市毎にテーマをもってデザインされている本格派です。オンラインショップの他、一部の量販店でも販売しています。詳しくは公式Webで確認してください。また、イベント向け等のオリジナル地域グッズのオーダーにも対応していますので、コレクターの方は要注目です。
行政支援・企画地図・オーダー地図
住宅地図というと、普段の私たちの生活から遠い印象を持ちますが、その地図データはカーナビ以外にも様々な場所で活用されています。特に近年では、住宅地図調査の経験や豊富な実績をもとに、ハザードマップや防災マップも製作しています。この他にも、自治体や企業からのオーダーにあわせ、観光マップや防犯マップ、教習所マップなど、様々な地図を製作しています。お住まいの地域や出かけた先で配布されているこのような地図にも、よく見るとゼンリンのマークが入っているかもしれません。是非、チェックしてみてください。
ゼンリンの総力を集めた!?2つの地図商品
ゼンリンが独自に製作する企画地図として、旅行者向けに「道の駅 旅案内全国地図」や子ども向けに「地図作りで発見!まちたんけんキット」が発売されています。前者は単なる観光ロードマップではなく、ゼンリンの持つ地図情報を最大限に発揮し、全国1145か所の道の駅の営業時間や定休日だけでなく、詳細な店舗紹介やご当地グルメまでも網羅しており、ドライブに欠かせない1冊となっています。後者は、子どもたちが地図のみならず、その地域に興味を持つように作られており。将来の地図好きを育成するという、これまでにない商品です。
スポーツイベントの公式ライセンス商品
2019年、2020年と日本では大型スポーツイベントが続きます。一見、ゼンリンとは全く関係ないように見えますが、実は公式ライセンス商品を発売しています。2019年ラグビーワールドカップでは、全国試合会場マップはもちろんのこと、各開催会場付近の地図をモチーフにしたクリアファイルやバンダナなどを発売しています。東京オリンピック関連では、現在は各種地図を中心としたラインナップですが、今後様々なグッズが登場することに期待したいですね。
まとめ
住宅地図メーカーの老舗とも言えるゼンリンですが、現在では住宅地図のみにとらわれない、あらゆる地図情報を扱うデータベース会社になっています。紹介したように商品のラインナップは多岐に渡ります。しかし、これこそが時代の変化に常に対応し、進化してきたゼンリンの強さの秘訣を表しているのではないかと感じます。今後、自動車の自動運転技術や、ドローンの飛行技術への応用など、地図の役割はますます高まってきます。新たな商品の登場に期待です。